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大阪地方裁判所 昭和49年(行ウ)60号 判決

原告 木邨芳男

被告 東淀川税務署長

訴訟代理人 高須要子 辻井治 清家順一 ほか五名

主文

一  被告が原告に対し昭和四八年四月一九日原告の昭和四七年分所得税についてした

1  総所得金額を一、九四四、五六一円とする更正のうち一、一二三、〇四九円をこえる部分

2  過少申告加算税を六、七〇〇円とする賦課決定のうち右一、一二三、〇四九円をこえる部分に対応する部分

をいずれも取り消す。

二  訴訟費用は被告の負担とする。

事実

第一当事者の申立て

一  原告の申立て

主文と同旨

二  被告の申立て

1  原告の請求を棄却する。

2  訴訟費用は原告の負担とする。

第二当事者の主張

一  原告の請求の原因

1  原告は、被告に対し、昭和四八年三月一五日、原告の昭和四七年分所得税について、別表(一)に掲げる事項を記載した申告書を提出した。

2  ところが、被告は、原告に対し、昭和四八年四月一九日、原告の昭和四七年分所得税について、総所得金額を一、九四四、五六一円とする更正をし、過少申告加算税(税額六、七〇〇円)を賦課した。

3  しかし、原告の昭和四七年分の総所得金額およびその内訳は別表(三)記載のとおりであるから、右更正処分にはこれを過大に認定した違法がある。

4  よつて、原告は、右更正処分のうち一、一二三、〇四九円をこえる部分および過少申告加算税賦課決定処分のうち右一、一二三、〇四九円をこえる部分に対応する部分の各取消しを求める。

二  被告の答弁

1  原告の主張する請求原因事実第1、第2項については、確定申告書提出の日を除き認める。右の日は昭和四八年三月一六日である。

2  同第3項について

否認する。

3  同第4項について

争う。

三  被告の抗弁

1  原告は、不動産賃貸業を営む訴外泰平興業株式会社(以下訴外会社という。)の代表取締役である。

しかして、被告は原告の昭和四七年分の総所得金額およびその内訳を別表(二)記載のとおり算定して更正処分および過少申告加算税賦課決定処分をした。右算定のうち「その他の必要経費四、五六二、九七八円」は誤りで、この金額に一〇円を加えた四、五六二、九八八円が正しいから、結局総所得金額は、一、九四四、五五一円となる。しかし右誤りは所得税額および過少申告加算税額の計算に影響を及ぼさないから、右各処分に違法なところはない。

2  右のように、原告の昭和四七年分の総所得金額について被告の主張と原告の主張とが相違するが、これは、結局、原告の不動産所得の金額の計算上、別紙目録記載の建物(以下本件建物という。)の償却費として必要経費に算入する金額が租税特別措置法(昭和四八年法律第一六号による改正前のもの。以下措置法という。)第一四条の適用を受けないで四一〇、七五一円となるのか(原告は本件建物の償却の方法として定額法を選定したが、本件建物の取得価額から残存価額を減じた価額は一六、七六五、三六二円であり、償却費の額は四一〇、七五一円である。)、措置法第一四条の適用を受けて右四一〇、七五一円の三倍に相当する一、二三二、二五三円となるのかについて見解が分れたためである。

3  ところで、措置法第一四条第一項は、昭和三九年四月一日から昭和四八年三月三一日までの間に、個人が新築した貸家住宅を取得しまたは貸家住宅を新築すること、および、個人が右貸家住宅を直接貸家の用に供することの二つを要件としている。

本件の場合、原告は、昭和四七年五月本件建物(貸家住宅)を新築したが、そのころ、訴外会社に対し、他に貸家として転貸させるため、格別の条件を付することなく、他の不動産と一括してこれを賃貸した。そして、訴外会社は、自己の名と計算で本件建物を居住者に転貸し、これによつて多額の転貸料収入を得ているが、一定額の賃料を支払う義務を負担しているほかなんら原告の支配を受けていない。

そうすると、本件建物を貸家の用に供しているのは訴外会社であつて原告ではないというべきであるから、原告は本件建物について措置法第一四条の適用を受けることはできない。

4  原告は、個人が貸家住宅を直接貸家の用に供さず、賃借人を介して間接的に貸家の用に供した場合についても措置法第一四条が適用される旨主張する。

しかし、原告の右主張に理由がないことは次のとおりである。

(一) そもそも措置法第一四条は所得税法第四九条の例外を定めたものであるから、その解釈は文理に即して厳格に行なわなければならないところ、「貸家の用に供する」とは貸借の対象となつた建物に借主が実際に居住する場合に用いられる用語であるから、転貸によつて利得を得る法人に賃貸するような場合を含まない。

(二) 措置法第一四条の立法趣旨は、住宅困窮者に対し低家賃の借家を供給する者を税制上優遇し、もつて貸家住宅の新築等を促進しようとするところにあるから、転貸によつて鞘を取ろうとする者またはそのような者に貸家住宅を貸与する者を税制上優遇すべき理由はなんら存在しない。したがつて、措置法第一四条第一項にいう「貸家の用・・・に供した場合」とは個人が直接居住者に貸与した場合をいうものと解すべきである。

(三) 原告の考えによれば、法人がその借り受けた住宅を居住者に転貸した場合には措置法第一四条が適用され、転貸しなかつた場合には措置法第一四条が適用されないこととなる。しかし、措置法第一四条の適用の有無は、右のように第三者の行為いかんによつて決定されるべきではなく、当該個人の行為によつて決定されるべきものである。そうだとすると、措置法第一四条第一項にいう「貸家の用・・・に供した場合」とは個人が直接貸家の用に供した場合をいうものと解さざるを得ない。

(四) 原告の考えによれば、措置法第一四条第一項にいう「貸家の用に供した日」とは法人が個人から賃借した日から起算するのか、それとも法人が他に転貸した日から起算するのか不明確になり、措置法第一四条の適用について好ましくない結果を生じる。

(五) 原告の考えに従えば、個人がその新築した貸家住宅をいつたん他人に賃貸し、その後個人がその他人から右貸家住宅を賃借しこれに居住した場合、右個人は措置法第一四条の適用を受けることになる。そうすると、本来措置法第一四条の適用を受けることができない個人が他人を介することによつてその適用を受けることができることとなり、明らかに不合理であるといわなければならない。

5  したがつて、本件建物の償却費として必要経費に算入する金額は四一〇、七五一円となる。

四  原告の答弁

1  被告の主張する抗弁事実第1項について

前段は認めるが、後段は否認する。原告の昭和四七年分の総所得金額およびその内訳は別表(三)記載のとおりである。

2  同第2項について

原告が本件建物の償却の方法として定額法を選定したことおよび本件建物の取得価額から残存価額を減じた価額が一六、七六五、三六二円であり、償却費の額が四一〇、七五一円であることは認める。

3  同第3項について

原告が昭和四七年五月本件建物(貸家住宅)を新築したが、そのころ、訴外会社に対し、他に貸家として転貸させるため、格別の条件を付することなく、他の不動産と一括してこれを賃貸したこと、および、訴外会社が自己の名と計算で本件建物を居住者に転貸したことは認めるが、その余の事実は否認する。原告は、訴外会社に対し、昭和四七年五月までは寿荘およびガレージ二棟を一括して賃料一か月二五〇、〇〇〇円で賃貸していたが、昭和四七年六月からは寿荘の居住者らを本件建物に転居させたうえ寿荘を取り毀し、あらためて本件建物およびガレージ二棟を一括して賃料一か月三〇〇、〇〇〇円で賃貸した(右賃料はたとえ空室があつても減額されることはない。)。そして、その際、原告と訴外会社との間には、訴外会社が原告に対し転借人から預かつた保証金を全額無利息で寄託し、右保証金のうち返還を要しない部分(保証金の二割に相当する部分)は原告の所得とする旨の合意が成立している。

4  同第4項について

争う。措置法第一四条は、個人が貸家住宅を直接貸家の用に供さず、賃借人を介して間接的に貸家の用に供した場合についても適用される。その理由は、次のとおりである。

(一) 措置法第一四条の文理からみても、同法条は個人が貸家住宅を直接貸家の用に供した場合、すなわち居住者に直接賃貸した場合にのみ適用されるということはできない(仮に、立法が不備なため、同法条について解釈が分れるとしても、租税法律主義の要請に従い、納税者に有利に解すべきであるから、被告のような解釈をとることはできない。)

まして、本件の場合、原告が自ら経営する訴外会社(同族会社)に対して本件建物等を一括して賃貸し、訴外会社をして居住者に転貸させて貸家の用に供せしめているのであるから、原告が貸家の用に供したという解釈は十分可能である。

(二) 措置法第一四条は、住宅政策上の要請に基づき、貸家住宅を税制上優遇しようとする規定であるから、貸家住宅が貸家の用に供されていれば適用されるのであつて、貸家の用に供した態様が直接的であるか間接的であるかを問わないのである。

(三) たしかに、法人が個人から貸家住宅を賃借した場合には、その法人が当該貸家住宅を居住者に転貸するかどうかによつて、措置法第一四条の適用の有無が決定されることとなるが、そうだからといつてなんら不合理なことは存しない。

しかも、実際には、新築した貸家住宅を取得しまたは貸家住宅を新築した者が措置法第一四条の適用を受けたいときは、賃借人たる法人との間において当該貸家住宅が貸家の用に供されるべき旨の合意をすれば足りるのであつて、自己の知らない者の行為によつて措置法第一四条の適用が決定されるということはない。

そればかりでなく、本件の場合、訴外会社は、原告が代表権を有する株式会社であるから、原告の意思に反する行為をすることは全くないのであつて、その意味においても、原告が訴外会社を介して本件建物を貸家の用に供したというを妨げない。

(四) 措置法第一四条第一項にいう「貸家の用に供した日」をいつから起算するかという問題は、貸家の用に供する行為が直接的であるか間接的であるかにかかわらず生ずるのであつて、これをもつて措置法第一四条は個人が貸家住宅を直接貸家の用に供した場合にのみ適用されるという根拠とすることはできない。

(五) 被告は、原告の考えによれば、個人がその新築した貸家住宅をいつたん他人に賃貸し、その後個人がその他人から右貸家住宅を賃借しこれに居住した場合、措置法第一四条が適用されることとなり不合理であると主張する。しかし、原告は、昭和四八年四月から本件建物の一室に自ら居住しているが、その部分については措置法第一四条が適用されないとして申告書を提出しているのであるから、被告の心配はあたらない。

5  したがつて、本件建物の償却費として必要経費に算入する金額は一、二三二、二五三円となる。

第三証拠〈省略〉

理由

一  原告の主張する請求原因事実第1項(ただし確定申告書提出の日を除く。)、第2項、ならびに、原告が不動産賃貸業を営む訴外会社の代表取締役であること、原告の不動産所得の総収入金額、本件建物を除く減価償却費、その他の必要経費、給与所得の金額が別表(三)記載のとおりであること、原告が昭和四七年五月本件建物(貸家住宅)を新築したが、そのころ訴外会社に対し他に貸家として転貸させるため格別の条件を付することなく他の不動産と一括してこれを賃貸したこと、訴外会社が自己の名と計算で本件建物を居住者に転貸したこと、原告が本件建物の償却の方法として定額法を選定したこと、および、本件建物の取得価額から残存価額を減じた価額が一六、七六五、三六二円であり、償却費の額が四一〇、七五一円であることはいずれも当事者間に争いがなく、〈証拠省略〉および弁論の全趣旨によれば、原告は昭和四七年分所得税の確定申告書を郵便により提出したが、その郵便物には昭和四八年四月一五日の通信日付印が表示されていたことが認められるから、右確定申告書は同日提出されたものとみなされる。

そして、右各事実に〈証拠省略〉ならびに弁論の全趣旨を併せ考えると、次の事実が認められる。

1  訴外会社は、原告の所有する不動産を他に賃貸するには法人の方が信用上あるいは税金対策上有利であるとして、昭和三九年九月ごろ、資本金五〇〇、〇〇〇円(昭和四二、三年ごろからは二、〇〇〇、〇〇〇円)をもつて設立された株式会社であるが、実質的には原告の個人企業であり、その企業活動はすべて原告の意思に基づくものであつた。

2  しかして、原告は、従来有していた貸家住宅の一部を大阪都市計画事業新大阪駅周辺土地区画整理事業のため取り壊さざるをえなくなつたので、昭和四七年五月ごろ、自己が指定を受けた仮換地上に租税特別措置法施行令(昭和四八年政令第九四号による改正前のもの。)第七条所定の床面積、取得価額等に適合する貸家住宅(本件建物)を新築したうえ、これを訴外会社に賃貸した。そして、その際、本件建物の賃料は原告が所有してすでに訴外会社に賃貸していた他の貸家住宅、ガレージ等とあわせて一か月三〇〇、〇〇〇円と定められたが、原告は、右各不動産の瑕疵(大きなものに限る。)の修補の費用負担していた。

3  訴外会社は、昭和四七年五月から八月までの間に、本件建物(七戸一棟)の各戸を順次転貸して転借人らに居住させ、賃料収入によつて利益をあげていたが、右転借人らが支払う賃料が一般の貸家住宅の賃料と比較して高額であるとはいえなかつた。

なお、訴外会社は、転借人らから受領した保証金をそのまま原告に交付して無利息でこれを貸与し、保証金のうち返還を要しない部分(保証金の二割に相当する部分)を原告に帰属させていた。

以上の事実が認められる。

二  そこで、措置法第一四条は、個人が貸家住宅を直接貸家の用に供した場合にのみ適用されるかどうかについて検討する。

(一)  措置法第一四条第一項は、「個人が……これ(貸家住宅)を貸家の用……に供した場合には、」新築貸家住宅の割増償却を認める旨規定しているのであつて、個人が貸家住宅を直接貸家の用に供したことをその要件としていないことは文理上明らかであり、個人が貸家住宅を貸家の用に供する場合とは、(1)個人が貸家住宅を直接貸家の用に供する場合と(2)それ以外で個人が貸家住宅を貸家の用に供すると評価しうる場合とを併せていうものと解すべきである。

(二)  そもそも、措置法第一四条は、割増償却という税制上の優遇措置を講ずることによつて、貸家住宅の新築を促進し、もつて住宅困窮者に低家賃の貸家住宅を供給しようとする住宅政策の一環を担う規定であるが、具体的には、床面積、取得価額等が比較的小さい一定の範囲内の貸家住宅に限つて右優遇措置の対象とし(措置法第一四条、前記租税措置法施行令第七条)、そのような貸家住宅が多数新築され、市場の理論ないし需要供給の法則のもとに、右新築貸家住宅の賃料ひいては貸家住宅一般の賃料が低廉となることを期するものである。このような措置法第一四条の立法趣旨からすれば、その適用を個人が貸家住宅を直接貸家の用に供する場合に限る必要はないわけである。被告は個人と居住者との間に利益を得る者が介在することによつて居住者の支払う賃料が高額となる旨主張するが、個人と居住者との間に利益を得る者が介在しても居住者の支払う賃料が低廉なこともあり、また、個人が直接居住者に賃貸しても居住者の支払う賃料が高額なこともあるのは明らかであり、一般に、貸家の用に供される態様が直接的である場合には、そうでない場合に比し、居住者の支払う賃料が低廉であることを認めるに足る資料はないから、被告の右主張は排斥を免れない。

(三)  もつとも、措置法第一四条は貸家住宅が現実に貸家の用に供されたというにとどまらず、その適用を受ける者が自ら貸家住宅を貸家の用に供したことが必要であるとしている。しかして、個人が貸家住宅を貸家の用に供したとは(1)個人が貸家住宅を直接貸家の用に供した場合には、個人が居住者に貸家住宅を貸与することを意味するのはもちろんであるが、(2)個人が賃借人らを介して間接的に貸家住宅を貸家の用に供した場合には、右賃借人らの行為を当該個人の行為と評価しうることを意味するのであつて、そのためには、当該個人と右賃借人らとを実質上同一視しうること、あるいは、当該個人が右賃借人らとの間の契約等によつて貸家住宅を貸家の用に供させることとしており、その結果として、現実に貸家住宅が貸家の用に供されたこと等が必要であるといわなければならない。

(四)  右のように解すると、被告の主張するように、措置法第一四条の適用の有無が第三者の行為によつて決定されることとなるが、そのこと自体あえて異とするに足りないばかりでなく、右第三者が措置法第一四条の適用を受けようとする個人とかかわりのない者ではない筈であることはさきに説示したとおりであるから、この点に関する被告の主張は採用しない。

(五)  また、右のように解した場合、措置法第一四条第一項にいう「貸家の用に供した日」とは、個人が賃借人らを介して居住者に貸家住宅を転貸した日から起算することは明らかであつて、措置法第一四条の適用について不明確なところが生じるということはできない。

(六)  さらに、個人がその新築した貸家住宅をいつたん他人に賃貸し、その後個人がその他人から右貸家住宅を賃借しこれに居住した場合には、当該個人は、右貸家住宅を自ら使用していると評価すべきものであつて、措置法第一四条第一項にいう「貸家の用・・・・に供した」ということはできないから、この点において、措置法第一四条の適用を受けることができないのである。したがつて、右のような場合があることをもつて、措置法第一四条は個人が貸家住宅を直接貸家の用に供した場合に限つて適用されるということはできない。

以上検討したところによれば、措置法第一四条は、個人が貸家住宅を直接貸家の用に供した場合のみならず、賃借人らを介して間接的に貸家住宅を貸家の用に供した場合であつても、当該個人と右賃借人らとを実質上同一視しうるとき、あるいは、当該個人が右賃借人らとの間の契約等によつて貸家住宅を貸家の用に供させることとしており、その結果として現実に貸家住宅が貸家の用に供されたとき等当該個人が貸家の用に供したと評価できるときには適用されるといわなければならない。

三  これを本件についてみるに、原告は、前記租税特別措置法施行令第七条に適合する貸家住宅(本件建物)を新築して訴外会社に賃貸し、訴外会社においてこれを居住者に転貸したものであるが、訴外会社は、原告が代表取締役をしている不動産賃貸業者であつて、実質的には原告の個人企業で、その企業活動はすべて原告の意思に基づくものであり、したがつてまた訴外会社が居住者に本件建物を転貸したのも原告の意思に基づくものであること等さきに認定した諸事実にかんがみると、結局、本件建物を貸家の用に供したのは原告であると評価して妨げないというべきである。

そうだとすると、原告は、本件建物について措置法第一四条の適用を受け、新築貸家住宅の割増償却をすることができることとなる。

四  以上を総合すると、原告の昭和四七年分の不動産所得の金額の計算上、本件建物の償却費として必要経費に算入する金額は、所得税法第四九条第一項の規定により計算した償却費の額四一〇、七五一円の三倍に相当する一、二三二、二五三円となるといわなければならない。

そうすると、原告の昭和四七年分の総所得金額およびその内訳が別表(三)記載のとおりとなることは計算上明らかであるから、被告が原告に対し昭和四八年四月一九日原告の昭和四七年分所得税についてした(1)総所得金額を一、九四四、五六一円とする更正のうち一、一二三、〇四九円をこえる部分(2)過少申告加算税を六、七〇〇円とする賦課決定のうち右一、一二三、〇四九円をこえる部分に対応する部分はいずれも違法として取消しを免れないこととなる。

五  よつて、原告の本訴請求は理由があるからこれを認容し、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法第七条、民事訴訟法第八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 石川恭 増井和男 西尾進)

別紙目録、別表 〈省略〉

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